救急科(ER)ブログ

6月18日(月)スタッフ抄読会

2018.06.28   淺野祥孝
6月18日(月)スタッフ抄読会(淺野担当)を下記の通り報告します。
2本の最近の論文をご紹介します。

1.小児処置時鎮静における絶食期間に意味はあるか。→ 意味はなさそう
2.トランサミンは内因性の出血に意味があるか。 → 微妙であるが更なる検証必要

Association of Preprocedural Fasting With Outcomes of Emergency Department Sedation in Children Maala Bhatt,MD,et al JAMA Pediatr May 7 2018

小児の外来での処置において、絶食期間は、アメリカ麻酔学会のガイドラインが使用されることが多い。
清澄水2時間、母乳4時間、人工乳・軽食6時間、固形食8時間
ただ、このガイドラインはあまり遵守されていない。
今回、絶食期間と合併症について大規模研究が行われた。

カナダでの前向きコホート研究。
合併症の発生は11.6%。誤嚥の発生はない。
最も多い合併症は低酸素血症であった。
嘔吐は、5.1%に発生したが、処置中に嘔吐したのは6名のみ。
その他は回復過程で嘔吐している。
この6名は、清澄水に関してはガイドラインを遵守できており、固形物に関しては半分がガイドラインを遵守していた。
無呼吸、血圧低下などの重篤な合併症は1.1%のみである。
絶食期間と合併症の発生に相関はなかった。
厳密なASA絶食ガイドラインに基づくことは、救急室における処置時鎮静をうける児の予後を改善しない。
ガイドラインに合わせるために処置を遅らせることは合併症を減らさず、救急室での滞在時間を長くする可能性がある。


Tranexamic acid for hyperacute primary IntraCerebral Haemorrhage(TICH-2): an international randomized, Placebo-controlled, phase 3 superiority trial Nikola Sprigg, et al.
Lancet 2018;391:2107-15

トラネキサム酸は、外傷後出血による死亡、産後出血による死亡を予防する。
今回の分析目的はトラネキサム酸が、血種の拡大を予防できるか頭蓋内出血による梗塞をもつ成人患者の予後を改善するかである。
12か国の124の病院のacute stroke unitで頭蓋内出血の成人のプラセボコントロールのrandomizedスタディを行った。
アウトカムはmodified Rankin Scaleを用いての90日後の機能予後である。
2日目の時点で血腫の拡大が見られた患者は、トラネキサム酸群では1054人中265人(25%)、プラセボ群では1058人中304人(29%)で、調整オッズ比は0.80(0.66-0.98)。
ベースラインから24時間後の血腫容積の増加は、トラネキサム酸群では平均3.72mL(SDは15.9)、プラセボ群では4.92mL(SDは16.0)で、補正後の平均差は-1.37(-2.71から-0.04)。
頭蓋内出血の90日後の機能予後に関し、トラネキサム酸投与群とプラセボ群で差を認めなかった。
早期死亡と重篤な合併症は減少させた。
更なる大規模研究が必要。
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