救急科(ER)ブログ

スタッフ抄読会

2019.06.07   淺野祥孝
4月30日(火)スタッフ抄読会を行いました。
安藤先生から
「医学と法学の両視点から軽症小児頭部外傷患者に対する頭部CT検査の適否を考える」
森脇崇 神経外傷40(2017)121-128
を通じて話題提供がありました。
法的側面という視点が新鮮で非常に勉強になりました。
元日本医師会長武見太郎によると
「医療とは、医学の社会適用である」
だそうです。
医療提供側は、社会(国民や患者)が求める医療を提供しなければならない。
すなわち、“社会の中の医療”という認識が医療界に問われており、
医療従事者は、医療資源の利活用等、社会との関連を考慮しなければならない
そうです。

上記を前提に軽症小児頭部外傷患者に対する頭部CT検査の適否が医学・法学の側面から
検討されています。
法学からみると
「頭部CTを施行せず帰宅した後に急性硬膜外血種が生じた事例」
については損害賠償請求が成立しうるのに対し
「頭部CTを施行して帰宅した後に頭蓋内病変は生じなかったが10年後に受験に失敗したもしくは、
ガンを数年後に発症し死亡した事例」
については損害賠償請求は因果関係の証明が不可能であり成立しない。
そのため、
医学的に頭部CTの必要性がない場合でも親がその説明に納得せず頭部CTを希望する場合は、
法定代理人に相当する親の要求は本人の要求と考え
頭部CTをとるべきとのことです。
自分の場合、PECARN等に該当せず、診察で違和感を感じない場合は、
比較的CTを撮影しない方向でお願いすることが多くあります。
今後は、医療は医学の社会的適用であることを認識し、
バランスのとれた判断を心掛けたいと思います。

特別支援学校